となりの音楽家

ひとりごと

カーリング再び
となりの音楽家のお友達、山の音楽家の小リスさん。

 

  今年2022年冬季オリンピックのカーリングでロコソラーレは女子銀メダルに輝いた。10106はカーリングの熱烈なファン、毎日手に汗握って激闘を満喫し、感動をうけた。そしてまた、いくつか思うことがあった。

  カーリングはのメンバーは4人、弦楽四重奏も4人、同じである。以前カーリングについて語ったときはコミュニケーションがそのパフォーマンスに大きくかかわっていると述べたのだが、今回はメンバー各々の役割に焦点を当ててみよう。

  フロントのはストーンの配置が主な役割、囲碁では布石にあたる。弦楽四重奏ではリズムや和音の基盤となっているチェロだろうか?弦楽四重奏で合奏するとき、たとえチェロがずれていてもチェロ以外の楽器の方がずれているように聞こえてしまうことがある。セカンドの役割はフロントより増える。ストーンの配置をさらに複雑にしたり、時には相手のストーンに弾き飛ばすこともある。そして、フロントと一緒にスイープ(氷を掃く作業?)。そのと時ストーンのスピードをスキップ(リーダー)に伝え、ストーンのスピードと方向をコントロールする。このセカンドの仕事は弦楽四重奏ではセカンドヴァイオリンに当たる。曲の速さやダイナミクスをチェロと組んで制御しているのだ。サードの役割は多岐に亘る。複雑になったストーンの配置に対して様々な種類の投球が必要となる。勝負の世界ではまさに中盤、華やかなプレーが出ることもあるが、持久戦では地味な仕事も必要となる。ここでゲームの趨勢が決まることも少なくない。この役割は弦楽四重奏ではビオラが担っている。最後ににスキップ!野球では押さえの投手だったり、最終回劣勢の場面で打席に入る打者にあたる。ただあくまでもその舞台は他の3人が投球の結果である。スキップは弦楽四重奏ではファーストヴァイオリン、同じくその舞台は他の3人が整えたものである。そしてスキップの役割はもう一つ、ゲームのコントロールである。どこで攻めて、どこで守るか?決めること!しかし、重要な場面ではメンバー全員で相談することも多い。それは弦楽四重奏でも同じである。

   

  カーリングは言うまでもなくスポーツである。選手は体力のある大柄な人が有利であり、カーリングにおいても男子は女子より桁違いに強い。世界の女子カーリング界ではここ数年、大柄な選手を中心にナショナルチームを組んで強化するのがトレンドとなっている。しかし、ロコソラーレは全員小柄!サードのTYは小柄であるゆえに翌シーズンのチーム構想からはずれ、某チームから契約を打ち切られてふるさと常呂に帰ってきた経緯がある。体力があると投球の幅も広がるし、スイープにも有利である。しかし、フロントのYYやセカンドのは小柄ながら高いパフォーマンスを示している。感服する。<(_ _)> それに加えて、ロコが強さはの本質はなんたってコミュニケーションだ。それが、決して優れているとはいえない体力を補なって好成績をあげる鍵になっている。  

  今回のロコソラーレの活躍で個々の体力が勝負の結果(総合力)に直結しないことが証明された。アマチュア・カルテットでもしかり。アマディス弦楽四重奏団のメンバー個々の演奏能力は高くない。しかし、個々の役割に自負を持って演奏する。さらにコミュニケーションを図ることでパフォーマンスを向上させ、その結果聴衆をおおいに感動させる可能性を教えてくれたように思う。

  あなたが関わっているチームでは、各人が役割に自負を持って臨んでいますか?コミュニケーションを意識していますか?

  (10106: 2022.3/30)  

となりの音楽家ひとりごと

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