録音
 

  先日、友人のMさんのピアノコンサートが“山”であった。ショパンとドビュッシーの小品で構成されたコンサートはしっとりと聴衆を魅了した。私はポータブルMDで会場録音した。よいマイクを使うとMD録音もそこそこ悪くない。それを編集(といっても演奏のない部分をカットしただけだが)したあと、CDに焼いてみた。

  その後、30年ほど前の学生時代に演奏しのオーケストラや室内楽コンサートの録音をCDに焼こうと思いたった。その録音はテープ録音で、テープデッキに直接録音したもののコピーである。30年もたつとテープの劣化も激しく、ノイズも多い。テープがいつだめになるかもわからないし、とりあえずMDに取り込んだ。場内アナウンスが入っていたり、友人の声が残っていたり、また、自分も含めて本番での様々なハプニングも生々しく記録されており、なつかしいものである。

   

  その後、それをコンピューターに取り込んだ。はじめはそのままCDに焼こうとしたのだが、いかんせんノイズが強い。ノイズで本来の演奏がほとんどわからないところもある。その時、音源をコンピューターに取り込むソフトを眺めるといろいろな機能がついていることに気づいた。その機能を使いノイズをとってみた。そうすると学生オーケストラの音が、往年のグラムフォンレコード、カラヤン指揮のベルリンフィルのような音になり、ビックリ!どうもノイズを取ると音色が暗くなり、音の出が遅く重くなるようだ。しかし、今回はノイズを取ると同時に、本来の音色を蘇えらせようと四苦八苦している最中である。

  でも、そこで考えた。CD,昔はLPレコードによって録音の音色にかなりの差がある。今までは演奏者と録音会場の影響が主体だと思っていたが、ミキシング操作でも相当変化するものだと分かって、大変ショックを受けた。録音のミキシングも様々なのだろうが、演奏者が自分の好きな楽器を選んで演奏するのと同じように、プロの演奏家は好みの録音技術者がいるのだろうか?

  あなたのすきな演奏家の録音ははどのようにとられているのか、気にはなりませんか?

  (TNVN 2002.6/10)