となりの音楽家

ひとりごと

音楽の聴き方と奏で方
となりの音楽家のお友達、山の音楽家の小リスさん。

 

  前回の「ひとりごと」では「ドラゴンクエスト」(以下ドラクエと略)とそのゲーム音楽を語ったが、今回はその続編。最近ドラクエの交響組曲全集CDが発売されていることを知った。内容はドラクエT〜Z、CD6枚セット、演奏はL交響楽団(以下L響)とある。10106の手元のドラクエVはN響の演奏、ドラクエWはL響の演奏である。L響の演奏するドラクエVはどんなものか?興味が沸いて購入した。

  そしてL響の演奏するドラクエVを聴いてみた。感動がない!確かに各団員のソロもみごと、アンサンブルの質も高い上手な演奏なのだが、、、なぜ?録音時期をみて納得した。L響のドラクエV録音時期は、手持ちの聴き慣れたL響のドラクエWの6年後だった。わくわく感がないのも納得!手に入れた全集の録音時期はドラクエのZの発売のころだったのだ。L響もその時期にまとめて演奏、録音したようで、団員も一般の音楽作品として取組んで演奏したのだろう。演奏の質は高いものの、ゲームの感動をもう一度!一緒に味わおうという演奏者の思いは乏しかったようだ。

  そして、もうひとつ面白いことに気づいた。全集のドラクエW。CD付属の印刷物にはL響と書かれているのだが、プレーヤーにかけるとN響版と表示される。耳を凝らせて聴けば、これは確かにN響の演奏!金管、木管の響きから間違いない。なかなかの演奏だ。ゲームの緊迫感や感動も感じられる。日本人のやや控えめな表現も垣間見れた。CD全集に最初はドラクエWもL響の演奏が入っていたが、N響の演奏が格段に素晴らしく、急遽差し替えられたのだろう。と10106は断定する。発売元に問い合わせることはあえてしないが、、、 (^^)ゝ 

   

  ここで音楽を聴いたときの感動について考えてみた。音楽の好みは人それぞれ。音楽の様々な要素、旋律、リズム、歌詞、音色(響き)、アンサンブルに耳をそして心を奪われる。各人の評価も千差万別!10106の主宰するコンサートで来聴者の書いてもらうアンケート結果でも明らかだ。多くの演奏曲目の中で、殆どの人が評価しない曲を唯一評価する人が必ず存在する。彼にとっては前述の音楽の要素以外?以上?の何かを感じたのだろう。それが音楽を聴くということなのかも知れない。と10106は思う。

  前述の音楽の要素はわかりやすい。若い演奏家が目指すさまざまな音楽コンクールがある。そこでは様々な音楽的要素の評価の合計でまず評価される。万人が納得できる方法が他になさそうだから、、、それが良くないと言っているのではない。しかし、それ以外にも音楽の聴き方、感じ方が歴然として存在する。例えばあなたの大好きな俳優さん。その人には容姿や声、立ち居振る舞いだけでは表せない魅力がきっとある。

  奏者が演奏に取組むとき、旋律、リズム、音色(響き)、アンサンブルをいかに上質にまとめるかに心を砕く。聴衆もそのどれか、または全体の完成度を期待して耳を傾ける人も多い。しかし、気持ちを込めて演奏することで多くの聴衆を満足させる方が実に心地よい。以前、親しいプロの交響楽団員に「感動した演奏はどのぐらいあるか?」と聞いたことがある。そのとき彼は「年に一、二回」と答えた。その演奏をしながら彼自身の心も感動に震えたのだろう。コンサートで演奏者としても心振るわせながら演奏できれば、こんな素敵なことはない。しかしどうすればそれが可能か?いまだにそのマニュアルは不明。聞いたこともない。しかし、そのときを夢見て、旋律、リズム、音色(響き)、アンサンブルの練習に10106は日々励んでいる。

  あなたは最近心振るわせたことはありますか?他人の心を振るわせたことはありますか?  

  (10106: 2021.11/11)  

となりの音楽家ひとりごと

年齢と演奏:2004.5/5

グリーグとシベリウス:2005.9/21

オケのヴァイオリン:2006.5/22

練習:2007.10/1

アガル:2007.12/10

モーツアルト:2008.7/1

クロイツェルソナタ: 2009.6/1

OBオーケストラ:2014.5/20

ガブリエル・フォーレ:2014.10/1

ラッスンゴレライ:2015.3/15

カーリング:2016.3/28

日曜美術館:2016.8/1

器用な人、凡人、不器用な人:2016.10/10

コンピューターとのお付き合い:2017.3/10

楽譜、そして準備:2017.6/1

音楽と忖度(そんたく):2017.10/21

模写と演奏:2018.7/10

ドラゴンクエスト:2021.11/10

 

 

 
山の音楽家のひとりごと

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歯と肩当て 2001.5/20

ホールと演奏家 2001.6/20

音楽家の夏 2001.8/19

弦 2001.9/17

一弦琴 2001.10/27

室内楽の楽しみ 2001.11/24

コンサートの楽しみ 2002.1/1

音楽家の冬 2002.1/30

演奏会場の響き 2002.4/7

純正調と平均律 2002.5/18

録音 2002.6/10

音楽の大きさ 2002.8/2

 


 
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