となりの音楽家

ひとりごと

楽譜、そして準備
となりの音楽家のお友達、山の音楽家の小リスさん。

 

  今、10106はカルテットの練習に余念がない。練習曲は、秋のコンサートに披露するチャイコフスキーやブラーム曲など、、、10106が所属するAカルテットは難曲好み!音符をなぞるだけでも難しく、目標は落ちない(演奏中に他の演奏者とずれてしまうこと)、そして止まらないこと!近代フランス音楽や、現代曲ではその目標で精一杯なのだが、古典派やロマン派の音楽ではわずかに余裕が生まれる。そこで、もう少し何とかならないか、作曲家が目指していた音楽に近づけないかとの新たなる欲?が生まれる。贅沢な悩みではあるが、それが無常の快感となっている。

  クラシックの曲の練習にはまず眼前に楽譜が存在する。バッハのころの楽譜では音符の長さとフォルテ、ピアノぐらいがあるだけだったが、その後、スラー(フレージング)、点で示されるスターカット記号、音の大きさを徐々に変えるクレッシェンドやデクレッシェンド、さらにドルチェや表情記号など作曲家のわがまま?が徐々に増えてきた。それにしたがって、演奏の自由も徐々に狭まって来たともいえるが、作曲家が意図した演奏の方向性が判るという大きな利点もある。

  練習を重ね、おおよその音程と速さに余裕ができるとこの音符以外の記号の意味に悩みだす。音符についた点はどの程度短く、どんな感じで演奏すればいいのか?クレッシェンドの勾配はどんなカーブを目指すのか?ドルチェ(優しく)はどんな人が誰に対してどのような気持ちで?悩み出すと切りがない!カルテットの演奏者は4人、それぞれ受け止め方が違う!先人たちの模範演奏を参考に、自分たちの技量と感性で折り合いをつける。我がAカルテットは今回の練習曲では少し余裕?ができたからか、目下この作業に勤しんでいる。

   

  その余裕ができた今、10106の向上心にもう一つ、欲求が生じた。今練習しているチャイコフスキーやブラームの曲は後期ロマン派に分類されている。古典のモーツアルト、ベートーベンのメロディーライン(フレーズ)は比較的長い。前期ロマン派も然り!したがって、次の演奏者へのメロディーの受け渡しは比較的わかりやすく容易である。しかし、後期ロマン派では主旋律、副旋律が複雑に絡み合っている。特にブラームスではいろいろな楽器(パート)が短い間隔で次々と交代しながら、全体としては長いフレーズの旋律を形成することが多く、最も難度が高いのではないかと最近ますます感じるようになった。(まさに難解な純文学作品を読んでいるかのような、、、)われわれのようなアマチュアカルテットにどこまでできるか?かなり高いハードルではあるが、挑戦する価値はありそうだ。

  ここで突然、「準備」という一語を思い出した。これは10106がまだS大学オケに所属していた頃。尊敬する指揮者O氏を練習に招いてブラームスの第一交響曲を練習していた時のこと。長い休符の後、管楽器出るタイミングがずれてしまった。O氏は激怒。「休みのときも音楽は粛々と進行しているんだよ。それを聴いていれば君の出す音、其のタイミングは必然的に決まっているはずだ。準備が足らないんだよ。」と、、、合奏は自分のパートを演奏するだけではだめ、全員で一つの音楽を作り上げる大きな目標があることを再確認!精進せねばと思う10106であった。

  あなたは楽譜の記号に悩んだことはありますか?それを楽しむ余裕はありますか?そして、準備はしていますか?  

  (10106: 2017.6/1)  

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