となりの音楽家

ひとりごと

年齢と演奏
となりの音楽家のお友達、山の音楽家の小リスさん。

 

   このゴールデンウィークにあるコンサートが開かれた。西大寺のA音楽堂で開かれた室内楽の音楽フェスタで、知り合いや、知り合いの娘さんなどたくさんの人が出演し、初めて演奏を聴く人もいるので楽しみに出かけた。

  曲目、アンサンブル、ともに変化があり、飽きない構成ではあったが、終わるまで3時間半と長く、少々疲れた。コンサートの長さは、2時間ぐらいが適当といわれるが… 演奏者 年齢は様々で、若い人が多かったが、最後に演奏したベテランのピアノ・トリオは圧巻だった。ヴァイオリンは知り合いのF氏、チェロは初めて聴いたがS氏、ピアノはこれも活躍しているSさん。ブラームスの重厚なやや長い曲だったが、演奏に引きこまれて、短く感じた。「室内楽のアンサンブルはこのように演奏するんですよ」と模範演奏のようで もあった。若い人の演奏との違いは何なのか?考えてみた。

   

  若い人の演奏もいい。緊張感が持続し、速く複雑な音楽も精緻に組み上げることができるのが若さの魅力である。すばらしい!と感歎する演奏も少なくない。もうひとつは、なんといっても若さの勢いである。強引ともいえる力強さも、あやうく怖いまでの美しさも若さの魅力である。いづれも、熟年のとなりの音楽家にはとてもまねのできない芸当である。

  それに比べ、大家と言われる人たちに代表される熟年演奏家の演奏の魅力は?ひとことで言うと大きさと深さだろう。音、フレーズ、曲想、どれをとっても洗練されている。演奏には落ち着きがあり、その音の世界に身を委ねると心地よい。音楽家もある年になると自分の演奏はこういうものだとあきらめにも似た居直りができるのだろうか?となりの音楽家もとても好きな演奏家、ヴァイオリンのハイフェッツやチェロのカザルスの魅力もそのようなところにあるように思える。

  若い演奏家のコンサートは多く、となりの音楽家も時々出かけるのだが、残念なことがある。一途に演奏してはいるのだが、語りかけてこない演奏が少なくない。演奏家自身の音の言葉で語りかけてほしい。それが個性だ。完成度は高くなくても、となりの音楽家は満足するのだが…  

  あなたは若い演奏家の音楽をどう楽しんでいますか?

  (10106: 2004.5/5)  

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