となりの音楽家

ひとりごと

オケのヴァイオリン
となりの音楽家のお友達、山の音楽家の小リスさん。

 

   先日となりの音楽家は若い日々をすごしたN県M市へ出かけた。となりの音楽家が所属していた大学オケの顧問のK教授の退官祝賀会と称して大学オケの卒業生(中退も含むが…)が一堂に会して、コンサートと飲み会を行うというとても楽しいイベントであった。

  となりの音楽家は中学、高校、大学と10年余りオーケストラ(オケ)生活を送った。市民オケにも5年ほど関わった経験から、昔とった杵柄とヴァイオリンで参加した。コンサートの演奏曲目はベートーベンの“運命”、ワーグナーの“マイスタージンガー序曲”など。どの曲もコンサートで何回か演奏した曲である。リハーサルでうまくあわないところがいくつかあり、そうそうここは昔も繰り返し練習したところだったな…と少しづつ思い出し、いろいろな友人の顔なども目に浮かべながら、昔をなつかしんだ。

   

  奏きなれた曲にもかかわらず、久しぶりのオケに結構戸惑った。ファースト・ヴァイオリンの後ろの方で奏いたのだが、指揮とコンサートマスターの弓の動きを見ながら耳は他のパートの音に集中してみる。それだけでいいのだが、予習不足のとなりの音楽家はそれに加えて楽譜の音符にも集中しなければならない。オケを楽しむ余裕はさらさらなかった。前の方で奏くときは、楽譜に視線を固定しても指揮とコンサートマスターの弓の動きが視野に入り、他のパートの音もはっきり聞こえる。室内楽と同じでこころよい。が、オケの後ろで奏くのは大層難しい…と再認識した。

  さて、楽器の演奏法は普遍だという輩もいるが、オーケストラ奏法というのが厳然と存在する。主旋律(メロディー)の演奏はソロとさほど変わらない。だが、たとえばリズムの刻みはオケでは短かめに演奏しなくてはならないし。副旋律や伴奏部では主旋律を邪魔しないように、かつ聞こえるように、音が通るように演奏しなくてはならない。具体的演奏法としては運弓を軽く速く、ビブラートを細かめにするのだが、言うは易し行なうは難し、これがなかなか難しい。これらの奏法はヴァイオリンのレッスンでは普通教えてくれないし、ソロや室内楽では必要がない。副旋律や伴奏部、とくにピアノで小さく演奏する部分でオケの実力が測れるといっても過言ではない。リズム、音程、強弱、バランスは練習量に応じて上達できるのだが、副旋律や伴奏部の上達にはとても長い期間が必要となる。副旋律や伴奏部のうまさが、オーケストラの実力を測る物差しと言っても過言ではない。とはいえ、オケは演奏するのも、聴くのも楽しい。大あじなところはどうしても避けられないが、不謹慎かもしれないが、音楽を使った大宴会?カーニバル?そんな感覚でとなりの音楽家は楽しんでいる。

  あなたはオーケストラをどのように楽しんでいますか?

  (10106: 2006.5/22)  

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