音楽家の夏
 

  昨夜、“山”のサマーコンサートが開かれた。猛暑の中、多数の来場者があり、盛会だった。作曲年代は古典から現代まで、作曲者もヨーロッパ、北米、南米、日本と変化に富んだプログラムで、熱のこもった演奏が繰り広げられた。

  は暑い。出かけるのもおっくうだ。「はとても、音楽を演奏したり、聴きに出かけたりする季節ではない。」と思うのは私だけではないだろう。なぜそんな季節に“山”ではコンサートをするのだろうか?という疑問を持つ方もあろうかと思う。しかし、答えは簡単。そんなわけでは当然コンサートが少なく、春、秋と違って公私にわたってイベントも少ない。山の音楽家の多くが参加可能な季節だからだ。“山の音楽家”の活動の中心は演奏すること。猛暑の中、コンサートにご来場いただいた方には申し訳ないが、ご勘弁願いたい。

   

  という季節は演奏家にとってはどんな季節か考えてみた。楽器を演奏していても汗が滴り落ち、集中力もかける。演奏家にとっても当然ながらあまり好ましい季節ではないのだが、演奏会が少なく、イベントも少ないは、落ち着いて練習できる貴重な季節ともいえる。斉藤記念オーケストラもこの期間信州で練習に励んでいるし、欧米ではサマーキャンプも盛んだ。

  楽器にとって、はかなり厳しい季節である。まず弦楽器。熱いと音がボケる、日本の夏の湿気はますます響きを悪くする。また、表面に塗ったニスが変質するのもこの季節だ。ピアノは響きも悪くなるが、音程が最も狂いやすいのがこの季節。最近は冷房を使うため、温度差と湿度差がピアノには厳しい。幾分状態がいいのは管楽器。気温と吹く息の温度の差が少なく、音程の狂いが少ない。声楽ではいったいどうなのだろうか?今度一度聴いてみたい。

  あなたはこの夏、どうお過ごしですか?

  (TNVN 2001.8.19.)