トリオ・ラ・モンターニャ

TLMノート

 ベースのアンプ 

 

 

  6月17日の日曜日に山の音楽家のT先生のプライベートの演奏会が奈良市の“あしびの郷”で開かれた。“あしびの郷”は今年9月9日(日)にトリオ・ラ・モンターニャ、ピアソラコンサート 2001を開催するところでもある。演奏会は室内楽が中心で13組の演奏があった。トリオ・ラ・モンターニャ(TLM)トリをおおせつかった。曲目はこのところベースのが乗りに乗っているコントラバヒッシモだ。

  演奏が始まってメンバーは皆あせった。前日の“山”での練習で“山”のご主人自慢のアンプをベースに使用してみた。以前使ったときは、ピツィカート(指で弦をはじく)の時はよいが、アルコ(弓で奏く)の時はベースの音が割れ問題があったが、調整してみるとアンプの音が生音とうまく溶け合い音量が増してTMLのアンサンブルのバランスも取れてとてもいい。ということで、本番の演奏に使用することにしたのである。リハーサルでは問題なかったのだが……。本番ではアンプの真空管が温まり過ぎたせいか、ベースの音が突然巨大に鳴り響いたのである。しょうがないので、ヴァイオリンとピアノはパワー全開で立ち向かってみたが、アンプの前には全く歯が立たなかった。曲目がコントラバヒッシモでよかった。この曲はコントラバスに最上級をつけたピアソラ独特の造語で、強引に和訳すると“コントラバスの極み”で、ヴァイオリンとピアノは最後まで脇役でよかったのである。本当によかった?。

  さて、この曲をはじめて聴いた二人の人から興味深い感想を伺った。“能”や“歌舞伎”のように感じたというのだ。そういえば、筆者もピアソラの音楽に幽玄の美、間、そしてリズミックな和太鼓や祭りのような迫力を感じることがある。ピアソラは日本人の感性に直接響く音楽なのかもしれない。一方、ミロンガは暗い!演歌とも通じる世界がそこにある。ピアソラの日本での大ブレイクにはそんな訳があるのかもしれない。

(2001.6/20)